ぺんぎん ~翼あるもの~
誰しもがみなぺんぎん。 翼はあるのに、 この空を飛ぶことが出来ない。 だけど、 きっとある。 自由にその翼を広げ、 羽ばたける場所が。
それは偶然でした。
その横顔は寂しく、思わず息を飲んでしまうほど。空きとった美しさが佇んでいました。
そんな記憶もいつの間にか消え、兵ぼんぼんな毎日を過ごす私。
すぐに消えてしまう記憶に何も疑問を持ちませんでした。
しかし、時は熟され扉が開かれる。
想像もつかないことが好みの上に起こることを、誰が予想できたのでしょうか。
就職難にあい、夢や希望、人格際も否定されたような気になっていた年明け、
私は一人の青年とすれ違う。
一風変わった格好に、私の目は釘づけにされ、そして奥底に眠っていた記憶が目を覚まし始める。
最初から出会わなければ良かったのでしょうか。
でも私はたとえ命が費えることになったとしても、あなたと出会ったことを後悔はしない。
登場人物紹介 |
松野さゆり/箕輪ユウキ | 主人公。子供のいない叔父夫婦の養女になり改名。見知らぬ街で違う自分になろうとするが、志半ばで挫折をする。大学卒業を目前で、就職が決まらない自分に自己嫌悪に陥る。若干記憶障害を持つ。 |
笛吹友暉(うすいともき) |
ユウキが一度目の挫折感を味わった時、出会った不思議な男の子。不思議な力を持つオブジェを手渡す。運命の扉を開いた人物。 |
茶々丸 | 記憶を持っていない不思議な青年。着流しに素足にスニーカー。まじめなのか冗談なのか読めない行動。光の加減で瞳の色が変わる。秘密だらけだが、ユウキはまるで磁石に引き寄せられたように離れられなくなる |
ショウ | 茶々丸を追いかけているうち、いつの間にかユウキの中で当たり前の存在になって行く少年。 |
美和子 | ユウキの大学からの知り合い。男誑しで、人のものを奪うのが趣味。 |
金森 | アルバイト先の誠実で真面目な上司。ユウキを好いてくれている。 |
松浦 | 友暉と知り合ったビルの一回に入っているイタリアンレストランのウェイター。なぜか不思議とよく合ってしまう人物。 |
寺田純也(てらだじゅんや) | 便利屋の社長。やたら愛想が良く、のちにユウは一緒に働くことに。 |
ヒロ | 兄の友達で、耳が不自由。幼少に頃、不思議と気が合い、良く行動を共にしていた仲 |
宗像 | 清掃を頼まれた顧客。寺田の知人。陰湿で横暴的。しかしどこか懐かしさを思わせるものを持っている。 |
悲しい恋の物語。隠された事実。ダブル姿。歪められてしまった運命。神神たちの掟のもと、引き千切られようとする赤い糸。
底知れぬ幾染みの中、新たな人生を歩み出したその時、奇跡は起こる。
ここに挙げられていない人物は、実は隠されています。結びつけながら読み進めてください。