野球一筋で生きてきた歩(あゆむ)はある日、はたとこのままでいいのか思い悩むようになる。 将来を嘱望されている中、皆の反対を押し切り上京したものの、待ち構えていた現実に打ちのめされてしまうことに。 煮え切らない思い。差し迫られる答え。 そんな時、奈緒と出会うのだった。 順風満帆と思われた二人の仲も、やがて翳りを見せる。 ある日突然、奈緒が別れを切り出す。 すれ違う心と心。 理由が分からないまま、生きる目的を見失いかけていた歩に手を差し伸べたのは、中島だった。 それぞれの思いや願いが蠢く狭間、歩が出した答えは……。 今、一夜限りの幕が上がる。 |
人物紹介 |
中田歩(なかたあゆむ) | 主人公。野球の腕前はかなりのもの。イケメンだが、自覚がない。 |
藤崎奈緒(ふじさきなお) | 歩の恋人。乙女チックな服装を好む。歩とは衝撃的な出会い方をする。 |
中島伸章なかじまのぶあき) | 歩とは高校時代の野球部の仲間で親友。歩にほのかなものを胸の内に暖めている。 |
野村正嗣(のむらまさつぐ) | 劇団マーブルの主催者。歩の人生に大きな影響を与える人物。 |
遠藤木綿子(えんどうゆうこ) | 野村の恋人。大学野球部のマネージャーをしていた関係で中島と知り合う。歩と奈緒が恋人になるきっかけを与えた人物。 |
間宮徹(まみやとおる) | 劇団マーブルの看板役者。自信過剰で自己中心の性格。しかし役者としては一流。歩の才能を認めているひとり。 |
倉嶋昇(くらしまのぼる) | 通称、東京の叔父さん。母の弟。銀行マンで、堅物。 |
倉嶋薫(くらしまかおる) | 従姉妹。おしゃれ好きで饒舌。口では敵わない相手。 |
倉嶋由紀子(くらしまゆきこ) | 従姉妹。おとなしい性格。幼いころから歩を思い続けている。 |
中田君江(なかたきみえ) | 母。さばけた性格で、歩を恋人に見立てて歩くのが趣味 |